作品制作の技法紹介

スティック・ドローイングという技法について

ターナーアクリルガッシュ トモ・ヒコ

スティック・ドローイングとは多数のこまかなピースに分けられた素材を
重ね合わせて構成する技法。「スティック」ということばには(張り合わせる)(くっつける)という意味がありまさに張り合わせてドローイングするというところからきている。

 

 

「アクリル」(美術出版社刊)

スティック・ドローイング技法はトモ・ヒコの技法ページより抜粋



スティック・ドローイング制作行程

白ボール紙をカッターなどで切る。各パーツを作りそれらを組み立ていく。ペーパークラフトのように思われがちだが、あくまでもドローイングなのである。段ボール素材とよく間違われるが、あくまでも基本は白ボール紙である。最近では強度を増すために芯材としてスチレンボードなどを利用している。


各パーツのボール紙を木工ボンドなどで接着。さらに表面にマチエールをつけるために木工ボンドを厚く塗る。乾燥後、プライマリージェッソで白く固める。


アクリルガッシュでベースになる色を全体に塗る。このときの色が後々作品のベースの色になる。アクリルガッシュは薄めずに刷毛につけ、擦るように塗るのがコツ。色も濃い色から薄い色へ塗る。こうすると先ほどのマチエールが浮き出してくるのだ。


同じく他の色を塗り、色の変化をつけていく。塗り重ねることにより作品の色が締まっていく。完成間近に、白のアクリルガッシュを擦るように塗りハイライトを入れる作業をする。最近では作品によって行っていない。


アクリルガッシュが乾燥後、換気をよくしてニスを塗る。ニスは、シンナー系・水性系とあるが作品の用途によって使い分けている。シンナー系は時間が立つとクラッキングが起こりアンティークな風合いが出る。水性系は処理が簡単で皮膜に厚みが出る。ニスを塗ったあと撮影など行う場合はシッカロールなどでテカリを消すこともある。